クレーム返信は「1対1」の言葉で書く

いくつかの会社さんのCS向上のお手伝いで、
お客様対応部門のスタッフの皆さんを指導しています。
といっても、対面の接客販売マナーなどではなく、
(それは私の専門外です^^)
主に電話応対とメール応対の部分です。
最近の若い皆さんは、家に固定電話がなく、
子どもの頃に、大人からかかってきた電話を、
両親に取り次いだ経験があまりありません。
メールも、今のやりとりは仲よしさんとのLINEが主流ですので、
ビジネスメールのパターンを、そもそもほとんど見たことがない、
という方も多いんです。
中でも改善点を強く感じるのは、
お客様からのクレームメールへの返信です。
たとえば、あるホームセンターに問い合わせをした
個人のお客様から、以下のようなメールが届いたら、
皆さんはどのように返信しますか?
--------------------------------------------------------
御社からのメールに電話番号の記載がなかったので、
ネットで検索して番号を調べましたが、
「直接お電話ください」と書いておきながら、
必要な情報がないのは、配慮に欠けると思います。
そういった場合は、
どこに電話すべきかきちんと書くべきではないでしょうか?
--------------------------------------------------------
これに対して、よくあるNG返信としては、
以下のようなものです。
実はこのパターン、本当によくあります。
そしてこういったメールが、さらなるクレームの発端になることも・・・
--------------------------------------------------------
このたびはご利用ありがとうございます。
お電話いただく場合は、022-XXX-XXXX にお願いいたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
--------------------------------------------------------
なぜなら、このお客様のメールの主旨は、
「電話番号がわからない」ことではないからです。
この場合は電話番号が知りたいわけではなく(それは自分で調べて解決済み)、
「直接電話してくれ」と言いながら、電話番号が書いていなかったことへの、
必要情報の不足について不満をもって言及しているわけです。
要するに、お客さんであるこの私に面倒な手間ひまをかけさせて、
あんた、もうちょっと、他人の立場に立ったメールを書いてよね、です。
その不満な気持ちに対しての回答が欲しいわけです。
なので、その感情を十分に吸い上げた文面にしないと、
お客様は気持ちがスカッとしないわけですよね。
・・・で、1往復で終わらずに、へんてこりんにこじれてしまう・・・と。
多少極端な言い方になってしまいますが、
クレームメールへの返信は、
「1対1」対応の言葉のキャッチを心がけるとよいと思います。
一見、無駄と思えるお客様の文章でも、
必ず意味と思いがこめられているわけですから、
ひとつひとつをまず解析してみるとよいと思います。
例えば・・・
御社からのメールに電話番号の記載がなかったので、
↓ ↓ ↓
お客様は言われた通りに、直接電話しようと思ったわけですよ。
ネットで検索して番号を調べましたが、
↓ ↓ ↓
電話番号が書いていなくても、自分で調べてくれたわけですな。
「直接お電話ください」と書いておきながら、
必要な情報がないのは、配慮に欠けると思います。
↓ ↓ ↓
全くその通り。
そういった場合は、
どこに電話すべきかきちんと書くべきではないでしょうか?
↓ ↓ ↓
わざわざアドバイスしてくれているわけですよ。
その思いが込められた文章の内容に、「1対1」対応できちんと触れて、
それについてお詫びや感謝の言葉を並べていけば、
取りあえずは、二次クレーム(応対クレーム)にならないし、
上手く並べ替えてアレンジすれば、
なんとなく、よさげな文面が出来上がるのではないかと思います。
うーんと、こんな感じ? ちょっとカジュアルですが、
電話番号の書き漏れ程度なら、このぐらいでいいかも。
--------------------------------------------------------
○○○様
AホームセンターのB山C男です。お世話になっております。
先のメールに電話番号を記載せずにお送りしてしまい、
大変失礼いたしました。
(あなたの指摘はおっしゃる通り!)
インターネットで弊社配送部門の
電話番号をお調べいただいたということで、
お手数をおかけしたことをお詫びいたします。
(わざわざ調べて手間ひまかかったんだよね?)
また、こちらの不手際にもかかわらず、
お電話くださったことに感謝を申し上げます。
(電話をくれてありがとうさん)
(謝るだけでなくお礼も述べてちょっとくすぐる(笑)上げて↑上げて↑)
すでにご存じとは思いますが、改めてお伝えいたしますと、
当部門の連絡先は以下になります。
(本来必要だった情報をより丁寧に正確に書いて伝える)
(「・・・になります」 はNG敬語とも言われますが、このぐらいはいいかと)
============
A株式会社 配送部
022-XXX-XXXX (受付時間9:00~18:00)
担当 B山C男
============
私のミスで連絡先の記載がないメールをお送りしてしまい、
申し訳ありませんでした。
(素直に責任と非を取りあえず認める)
また、これからも気が付いた点があれば、
遠慮なくご指摘ください。
(ウェルカムの意思表示!真摯に受け止めますよ~お客様は神様ですw)
それでは今後ともA株式会社をどうぞよろしくお願いいたします。
===================
署名
===================
--------------------------------------------------------
100点満点じゃないけど、こんな感じかしら。
クレームメールは、文章のうまい下手ではなく、
先方の言い分の「吸い上げ」「すくい取り」が一番大事だと思うんですよね。
その一方で、それほど緊急性を要する重大事項でもない場合に、
「ご指摘を真摯に受け止め」とか「弊社の体制を見直し」とか、
「今後はこのようなことがないように・・・」などと、
不相応に大げさな反省文にしてしまうと、
これまた、「口先だけ」「テンプレのコピー?」と思われてしまうので、
過度に平身低頭しない、さじ加減も肝心かな?と思います。
要は、何かのフォーマットに乗っ取って書いているのではなく、
人が自分で考えて書いた、オリジナルな文面であることが、
一番、相手の気持ちを和らげるような気がします。
また、
私が色々お手伝いしている中で、
特に理系の男子君は、
物事をストレートにシンプルにとらえる傾向があります。
そのため、「電話番号さえわかりゃいいんでしょ?」と、
短くそっけない返信になりがちですが、
「答えが得られたからそれでいい」とは思わないのが、
お客様(特に女性)の人情というものなので、
ぶーぶー言いたい気持ちを、
(たとえ文章の上だけでも構わないのでw)
きちんと受けて留めてあげてくださいね。
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