
大嫌いで一生自分には縁がないと(持ちたくない)と思っていた、
ビジネスマナーをふとしたご縁で教えるようになって数年経ちました。
元CAだったり、茶道や礼法を長く習っている、
私の友人達に比べたらそんな自分は、
「なんちゃってビジネスマナー講師だなぁ」と思いますが、
その分逆に受講者の皆さんとは、
目線と感覚が近いと思うんです。
そんな自分が感じたギモン三部作の②です
* * * * * *
最近、調べれば調べるほど明確になって来るのですが、
ビジネスマナーにはスタンダードなんて、
ほとんどないってこと。
「名刺交換」で検索してみてください。
名刺の上に乗せて渡すのが正式だというサイトもあれば、
必ず両手で持って渡すというサイトもあります。
(要は心がこもっていればどっちでもいいんだと思います)
「訪問時、荷物は足元のどちら側に置くの?」左側と書いてあるサイトもあれば、
右側と書いてあるサイトもあります。
左側と書いてあるサイトはたぶんお茶が右から出るので、
その邪魔にならないようにかな。
右側と書いてあるサイトは洋食の給仕(料理)が左からなので、
その邪魔にならないように「荷物は右」と書いてあります。
ですが同じ洋食マナーに習うのでも、
椅子は左から着席するので、
自分の右に置くと右側の人の着席離席の邪魔になるから、
「左に置きましょう」というのもあります。
そしてそもそも、ビジネスマナーは、
洋食のマナーと同じ考え方でよいの?
なんかごっちゃになっていない?という疑問も生まれます。
「面接の椅子はどっち側から座る?」椅子は通常左から座ると書いてあるサイトもありますが、
入室して自分に近いほうというのもありますし、
単に椅子の座り方というのなら「下座側」という解説もあり、
これも色々です。
要するにただ単に椅子に座るのなら、
どちらでも構わないのですが、
洋食の
会食なら国際ルールとして左から座るというのがあって、
でも人数の多い
会議なら下座からというのも「あり」で、
だからと言ってそれを
面接に適合させたら不自然なときもあるわけで、
その場合は入口から入って自分に近いほうから腰かけるのが自然でしょ?
というのはもっともです。
そんな風にケースバイケースで何がベストか異なる物事を、
一つの固定ルールとして捉えようとするから話がおかしくなるのかな。
「商談中の名刺はテーブルのどちら側に置く?」右側が多いですが左側と書いてるサイトもあります。
文中では言及していませんが、
掲載イラストが左側になっているサイトもあります。
こうやって見ていると、思った以上にバラバラですし、
段々「知らんがな」「勝手にせい」という気にもなってきます(笑)
だから相手に敬意を払っている態度がきちんと伝わっていれば、
どっちでもいいという結論は暴論かもしれませんが、
ある意味間違ってないと思います。
本で明言していないのも理由はそこにあると思います。
きちんと書いてしまうと必ず「違う」という人が現れますからね。
なのでたいていの本は、肝心なところになると、
「臨機応変に」という表現でうまく逃げて?いるのではないかと、
個人的には思います。だって私もそうしていますから(笑)
* * * * * *
ネットは間違いがわかればすぐに修正が利きますし、
そもそも無料で誰でも参入可能な資源なので、
その分責任も軽く発信しやすいのですが、
そうなるとバラバラで正反対のマナーやルールが、
あちこちに散逸しちゃうんですね。
ですが私はそれのどれかが間違っているとはあまり思いません。
多分執筆者は自分が教わってきたことをそのまま、
誠実に正確に書いていると思います。
というのも自分がこういったことを教える側に立ってみると、
本当にたくさんの方から「自分は新人研修でこう習った」
「上司にこう教わった」「会社でこう指導された」という、
それぞれに違うやり方が声として上がって来るからです。
名刺交換ひとつとっても、
・何が何でも相手より先に両手で出せ!と指導された人。
・相手よりも上の位置では絶対に出すな!と言われ人。
・名刺には触れずに名刺入れの上に乗せて出せと教育された人。
・名刺は手渡しせず相手の名刺入れに乗っけるもの、と教わった人。
伺っていると本当に色々で、特にご年配の方は、
入社時にきちんと上司や先輩に教えられていますから、
そういうことをあまり教えない現在とは異なって、
厳しくしつけられてきた分だけきちんと身についていますが、
ふたを開けてみると中身がそれぞれに違ったりするのです。
だからね、昔はビジネスマナーという教育分野なんてないし、
そういった外部講師などもいませんから、
上司や先輩がそのまた上司や先輩に教わって来たことを、
後輩たちに伝えるのが基本だったと思うんですよね。
女子社員も同じで、その会社の教える立場の先輩女子社員は、
そのまた先輩女子社員に厳しく教わってきたことを、
同じ厳しさで後輩達に伝えて来たのだと思います。
そうするとその会社ならではの独自ルールや、
地域性によるローカルルールなども百出すると思いますが、
マナーなんてそんなもの、というとらえ方でよいと思うんです。
* * * * * *
講師としてビジネスマナーを教えている先生達も同様で、
過去に自分がどんな先生にどんな教わり方をしたかで、
内容がそれぞれに異なるのは仕方ない事だと思います。
その先生に教えてくれた先生はどなたなのか。
CA出身の方なのか、旅館の女将さんなのか、
茶道や礼法の先生なのか、テーブルマナーの先生なのか?
それによって色々違ってくるのは当然でしょ?
そもそも日本では、古くからの礼儀作法は和室の文化ですが、
ビジネスの現場はほとんどが椅子と机の洋室であるわけだし、
それをそのまま適応させるには絶対アレンジと創作が必要ですし、
そもそもビジネスマナーなのですから、お茶出し一つとっても、
お客様はお茶を出す人のお手前を見に来ているわけではありません。
私が以前受けた講座の先生は、「お茶出しは黒子に徹する事」
と言い切りましたが、つまり必要最低限の礼儀は守るけど、
存在を相手に意識させちゃダメということですよね。
「さっと出して場を乱さず速やかに立ち去るのが務め」なら、
不要に緊張する必要もなくあれこれ気にするのは自意識過剰
かもしれないということです。
これは個人的に非常に腑に落ちました。
そうだよね、と共感しました。
でも一方で疑問も残りました。
でもそれじゃ、そっけなくて随分事務的でクールな感じがしない?
本当にいいの?それで?
* * * * * *
ビジネスマナーに正解というのはあまりありません。
強いて言えばこれでいいときもあるし、
よくないときもあるというのが正解でしょうか。
実は私が教わった先生は私よりも若い方で、
確かに元CA(客室乗務員)なのですが、
その後転職して証券会社で秘書としての経験を積んだ方なのです。
なのでこの先生のビジネスマナーは、
証券会社のような金融業でエライお客様がしょっちゅう来る会社では、
大いに有効だと思いますが、
中小のフラットな組織では事情に合わないケースも出てくると思います。
そういうところをきちんと説明して納得してもらい、
その上で個々の会社に合ったやり方を、
研修を通して提案していかないと、
その業種、その職場、その会社さんの、
お客様満足度につながらないし、
対人スキルの向上にはならいと思うんです。
だってですよ?
敬語は大事、そりゃ大事。
でも極端な話、近所に頼むラーメンの出前の受付で、
礼儀正しい丁寧な敬語なんか使ってられますか?
「それでは復唱させていただきます」
「こちらでお間違いはございませんでしたでしょうか?」
なーんて言っていたら、ラーメン伸びちゃいますよ~(笑)
お客さん、イライラして怒って電話切っちゃいますよー(笑)
(しかも上記の敬語も厳密にはチョト怪しいですね^^)
スピード?元気?笑顔?親近感?方言?専門性?個別性?
ビジネスマナー以上に重要な事柄が、
それぞれの業種には必ずあるのですから、
マナーに気を取られ過ぎてそっちを忘れちゃダメだよね^^
バランス、バランス、それが大事だと思います。
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